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日本STEM教育学会 拡大研究会【オンライン開催】一般発表/SIG発表

2021-03-12 | EVENTS / ACTIVITIES

2021年3月28日(日)開催の「日本STEM教育学会 拡大研究会【オンライン開催】」の一般発表/SIG発表の内容を掲載いたします。
予稿を掲載いたしました(2021.03.26)

開催概要・プログラム内容はこちらよりご確認ください。

 

■一般発表 A分科会

A-1)「学びに向かう力を高めるプログラミング教育~AIロボットを活用した授業実践~」
江口千穂(北区立王子第二小学校),酒井継嗣(北区立王子第二小学校),茂木勝彦(北区立王子第二小学校)

小学校におけるプログラミング教育のねらいを実現するために,家族型ロボットとして開発されたAI ロボット等を活用し,児童が試行錯誤しながら課題解決に向けて小グループで話し合い,対話的・協働的に学ぶ場を意図的・計画的に設定した。AIロボットを動かす活動を通して,児童の学びに向かう力を高め,プログラミング的思考を育成し,問題解決の手順や論理的に考える力,児童の情報活用能力を高める授業実践について報告する。

A-2)「遠隔講義における文系大学生を対象としたExcel VBAプログラミング教育実践報告~スキナー式プログラム学習の情報教育へのアプローチ~」
加納久子(目白大学)

スキナーにより提唱されたプログラム学習は、行動主義の原理に基づいた個別学習理論で、細かく分割された学習内容を、学習者が能動的に取り組み、即時のフィードバックを受けることで目標に到達することができる。2020年のコロナ禍により余儀なくされた遠隔講義において、この古典的な学習理論が、最先端のICTを活用したプログラミング教育への効果的なアプローチとなりうることを検証し、その成果について報告する。

A-3)「サーバーソフトウェアプログラミングを日本語で学ぶことには何か利点があるか?」
Does learning of server software programming in Japanese have any advantages?

Clemens Ott (ixp)

プログラミング言語としての日本語は、すべての生徒が必須の学校でプログラミング経験を積むことを可能にする。 サーバーは、どの職業が選択されるかに関係なく、仕事に関連する環境である。
Japanese as the programming language, enables every pupil to gain programming experience during mandatory school. The server is a work relevant environment regardless which profession will be chosen.

A-4)「教員が生活課題の解決にAIを用いること」を啓発するための研修プランの開発」
藤丸浩一(みやま市立江浦小学校),中川一史(放送大学)

小学校プログラミング教育が始まったが、多くの教員は知識と技能の不足に不安を感じている。また、従来の研修は、やりっぱなしで終わる傾向があった。そこで、ID理論を基盤にして「教員が生活課題の解決にAIを用いること」を啓発するための研修プランの開発を試みた。研修後のアンケートとアクションプラン、研修報告書の分析結果からは、啓発された教員の考え方の変容と行動計画・実践の様態を明らかにすることができた。

 

■一般発表 B分科会

B-1)「データベースを活用した地域活性化提案プロジェクトにおける授業デザインの考察」
反田任(同志社中学校)

観光ビッグデータなどの根拠に基づいた探究学習を進めるのに便利なアプリケーションである「観光予報DS(データサイエンス)」を活用し、グループによる地域活性化提案のプロジェクト型学習を行なった。プロジェクト全体の実践報告とともに、各グループにおける課題の設定、データの分析、プロジェクトのゴールであるポスター制作に至るまでの学習ログとプロジェクト終了時の生徒アンケートの分析から効果的な授業デザインを考察する。

B-2)「手先の器用さで進路を既定しない〜美術工芸教育におけるテクノロジー活用の意義」
黒沼靖史(聖徳大学附属女子中学校・高等学校)

現代での生徒の進路選択の際、その時点での手先の器用さをものづくりの道を諦める判断基準としてはいけないと考える。新しい道具や技術は可能性を拡大する。最新技術との協働は人との協働と同様に不可能を可能にし、その成功体験は自己効力感を育む。ファブスペースとの連携により高価で普通の学校で購入困難な高出力のレーザー加工機の活用を可能とした。低予算で高価な機器の使用とデジタルファブリケーション体験(ネットを介した遠隔地での材料加工)を授業で実現した方法を共有したい。

B-3)「高等学校における科学的探究力の育成を目指したSTEAM教育の実践Ⅱ」
池 恩燮(大分県立大分舞鶴高等学校),小林 優子(筑波大学大学院・日本学術振興会),中島 さち子(明治大学MIMS),田中 香津生(東北大学CYRIC),山羽 教文(株式会社STEAM Sports Laboratory)

昨今、Society5.0の社会を生き抜く人材の育成として高等学校でのSTEAM教育の必要性が述べられているが、高等学校の授業で実施されているSTEAM教育の実践事例は少ない。そこで、発表者が勤務する高等学校では、本年度から授業で行うSTEAM教育の開発とその実践事例の普及を図っている。第2学期は、特に家庭科×美術×化学×地歴公民×情報分野や体育×数学×情報分野の構造化された課題研究を行った。その中で生徒は、科学的な問い(リサーチクエッション)の生成やスポーツ活動をモデル化する活動を通して、仲間とともに深い思考へて最適解を導きだしていた。

B-4)「全校で取り組むSTEM教育〜自由な発想力・行動力・失敗を生かす力を育む教科横断的探究学習の単元開発〜」
藤田由紀子(高知市立浦戸小学校),佐藤幸江(放送大学)

公立の小学校において,全校においてSTEM教育に取り組んだ.今年度は,自由な発想力・行動力・失敗を生かす力を育みたいと,教科横断的探究学習の単元開発を試みている.結果「大テーマ設定→探究学習のプロセスに「ものづくり」の視点→空間・時間を超えた学び→教師の変容→児童の変容」が明らかになった.

 

■一般発表 C分科会

C-1)「コロナ禍後に求められるSTEAM教育のArtとは」
下郡啓夫(函館工業高等専門学校),古岡秀樹(株式会社学研ホールディングス),有賀三夏(東北芸術工科大学),杉原麻美(淑徳大学),島青志(慶應義塾大学大学院付属研究所)

コロナ禍を契機に、国内外では経済社会の変化や人々の生活に変化が起きている。われわれは、その変化の中で、新たな社会像を模索するとともに、その社会像を実現するイノベーションとは何かを捉える必要が出てきている。本稿では、まずコロナ禍後に求められる新たな社会像とイノベーションについて概観する。その上で、そのイノベーションの創出を実現する人材育成方法としてのSTEAM教育及びAの役割を考察する。

C-2)「STEAM教育を支援するための連携の在り方」
桜庭望(一般財団法人東京学校支援機構)

STEAM教育は学校教育、社会教育の様々な場面で進められていくが、教科横断・統合的な取り組みにあたっては、教育現場だけがその任を負うには限界がある。産官学の連携、企業の社会貢献、ボランティア活動など様々な側面によるSTEM教育を支援する仕組みや人材活用の例から、STEAM教育を進めていくために必要な取り組みについて考察する。

C-3)「規模オンラインコミュニティでの探究学習の実践と内発的動機付けの研究」
後藤義雄(株式会社ベネッセコーポレーション),塚本悠(株式会社ベネッセコーポレーション),鈴木久(株式会社ベネッセコーポレーション)

探究的な学習を多人数参加可能なオンラインコミュニティ上で行った実践について報告する。「タイピング能力を上達させるアプリを作る」を探究テーマとして、中学生が掲示板で意見を交わしながら、各自の興味関心にもとづき課題を設定し、参加者同士が探究的に課題の実現に貢献する。学校とは違い強制力もなく相互の個人情報も知らない環境にもかかわらず、継続的に参加していた理由について、内発的動機づけの観点で研究した。

C-4)「日本型STEM人材の特徴と教育課題」
田中若葉(東京学芸大学大学院),大谷忠(東京学芸大学大学院)

米国においてSTEM分野に関わる労働力や将来のSTEM 分野のエキスパートのための教育,広く人々に開かれたSTEM教育の必要性等が指摘されているが,日本のSTEM分野における人材に焦点を当て,その特徴や人材を輩出する学校教育との関わりから,人材育成の課題について検討した資料は少ない。本研究では,日本のSTEM分野における技術者に視点を当て,その特徴や人材育成の状況について分析し,日本型STEM人材の特徴を明らかにし,そこから見出される教育課題について抽出した。

C-5)「総合的な学習における授業実践の特徴とSTEM/STEAM教育との関わり」
大谷忠(東京学芸大学大学院),小久保朋香(東京学芸大学)

平成元年学習指導要領の改訂において導入された総合的な学習の時間に関しては,約30年の歴史的な教育実践の中で,多くの授業等が実施されてきた。特に,平成29年に改訂された学習指導要領では,実社会・実生活における問題において,総合的に活用する教科等横断的な学習が重要であることが示されており,STEAM教育との類似点が指摘されている。本研究では,総合的な学習の時間において実践されている授業について,STEM/STEAM教育の視点から調査・分析し,両者の類似点や相違点について検討した。

 

■一般発表 D分科会

D-1)「小学校第6学年を対象としたデジタル蓄電機を用いた点灯実験」
津田真秀(京都教育大学附属京都小中学校),平島和雄(京都教育大学附属京都小中学校),黒田恭史(京都教育大学)

算数科で学習する「平均」や「資料の整理」など,いくつかの集められたデータを集計・分類する能力の育成は,与えられた数値でなく,実際に測定して検出された「生のデータ」である方が望ましい。そこで,本研究では,理科の学習における手回し発電機からコンデンサーへの蓄電に着目し,デジタル蓄電機を用いた豆電球とLEDの点灯実験を行い,デジタル化された数値を処理・分析することによる教育の有効性を検証する。

D-2)「タブレット端末を活用した中学校理科における生徒の科学的な根拠をもとに表現する力を育む授業実践」
北濱康裕(放送大学大学院),中川一史(放送大学)

本研究では,理科実験の様子についてタブレット端末を用いて記録し,次時の考察の際に繰り返し見返すことで,実験の様子を想起することができ,生徒の科学的な根拠をもとに表現する力が高まることを明らかにすることを目的として授業実践を行なった。その結果,単元により,タブレット端末で記録した写真や動画の台車の間隔や動きの変化に着目して考察を行い,根拠を含めて記述できる生徒はタブレット端末を使用したクラスの方が多く,科学的な根拠をもとに表現する力を高める点において一定の効果があることが明らかとなった。

D-3)「AIチャットボットを活用した個別最適化学習に関する研究」
小川裕也(柏市立柏第三小学校),中川一史(放送大学)

GIGAスクール構想の実現により、1人台のタブレットの活用が可能になった。タブレットを使った学習の一つとしてGoogleのDialogflowで作成したAIチャットボットを活用していきたいと考えている。本研究では、児童自らがAIチャットボットを作成する。学習内容を共有し、深め、子ども同士で学び合う、AIを活用した学習環境の有効性を明らかにしていきたい。

D-4)「小学校算数科における人工知能教材を用いた復習についての一考察」
津下哲也(放送大学大学院),佐藤幸江(放送大学),中川一史(放送大学)

人工知能教材を用いて小学校6年生児童を対象に,5年「約数と倍数」単元の復習を行った。評価テストを用いてプレとポストで正答率を算出し,問題別の正答率や個別児童の正答率の変化について,学習ログをもとにその特徴や変化の要因を考察することで,人工知能教材を用いた学習の効果を上げるための視点を導出することを試みた。人工知能教材の機能を充分活用することでさらに学習効果が上がる可能性があることなどが示唆された。

 

■SIG発表 会場E

SIG1:これからのSTEM教育を考える研究会
「GIGA×STEM:GIGAスクールでのSTEM学習を中心とした新しい学びの実践」

GIGAスクール政策によって急速に進んだ1人1台端末環境により,教科を超えた情報の収集・整理や,発表資料の作成など,STEM学習を進めるための土台が整備されたといえる。本セッションでは,1人1台端末環境を活用したSTEM授業実践等を共有し、事例をふまえて参加者全員でよい実践を進めるためのポイントを探る。

発表1)「教科を超えた職員の連携促進や,授業改善のためのGIGA端末利用」
上村慎吾(葛塚中学校)

発表2)「GIGAスクールを活用した家庭との連携」
庄子寛之(調布市多摩川小学校)

各20分程度の発表の後、発表者や司会者などがGIGAスクールやSTEM学習などをテーマに座談会を行います。