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日本STEM教育学会 第5回年次大会【オンライン開催】一般発表

2022-08-26 | EVENTS / ACTIVITIES

2022年9月23日(祝)開催の「日本STEM教育学会 第5回年次大会【オンライン開催】」の一般発表の内容を掲載いたします。
予稿を掲載いたしました(2022.9.20)

開催概要・プログラム内容および参加お申し込みは、こちらよりご確認ください。

 

■一般発表 分科会A 
座長:田中 愛(放送大学大学院)

A-1)「「まちづくり」の活動における真正な学び~低学年期におけるプログラミングを通して~」
荒谷 眞治(伊那市立伊那小学校)

本研究の目的は「まちづくりの活動において,真正な学びに着目し,低学年期における子どもたちの願いに沿ったプログラミングには,どのような学びがあるのか」を明らかにしていくことである。そのために,子どもたちの願いに応じたプログラミングを行うことでどのような学びがあるのかを実践から整理,分析していった。そして,子どもたちの真正な学びの姿を「再現」と「表現」の視点から捉えることができた。

A-2)「レゴブロックを用いたプログラミング教育」
笠原 美左和(都立産業技術高専)

小学校や中学校でのプログラミング教育必修化をきっかけに,日本でも科学技術人材を育成するためのSTEM教育が徐々に広まりつつある.本稿では,LEGO ブロックとマイコンを用いて,STEM教育の実践事例として行った公開講座(OPC) の概要報告及びOPC終了後に実施したアンケート結果を基に,新たな学習内容について提案する.

A-3)「児童の工作とプログラミングにおけるティンカリング」
田中 愛(放送大学大学院),中川 一史(放送大学)

2020年の小学校学習指導要領全面実施以降、多くのプログラミング教育が実践されている。教科学習の目的を達成し、プログラミング的思考を身につけるため多くの実践がなされているが、創造性育成に重きを置いたプログラミング教育も展開されていくべきであろう。本稿では、児童の創造性を育む観点からのティンカリングについて先行研究からその定義をおさえるとともに、工作とプログラミングにおけるティンカリングについて論じる。

A-4)「ピア・フィードバックの手法を援用した大学生のプログラミング体験授業におけるペア学習の効果」
細川 都司恵(金沢星稜大学教職支援センター),中川 一史(放送大学)

ペア学習によるプログラミング体験授業の際に、思考態度を共有し、学生間でお互いの改善点や評価すべきポイントを話し合う「ピア・フィードバック」の手法を援用して指導した場合、学生が課題解決のために他者とどのように協働するかを調査した。その結果、学生は新規のペアによるプログラミング学習であっても互いに自己調整しながら関わり、活動の意欲や満足感を高めたことが分かった。ただし,ペアの相手に改善点をフィードバックする心理的壁が課題として残った。

 

■一般発表 分科会B 
座長:森 晶子(東京大学先端科学技術研究センター)

B-1)「「かたち」を起点としたアートエデュケーション開発の研究 -フロッタージュを活用したアートワークショップの試み-」
宮坂 真紀子(女子美術大学),西井 美佐子(女子美術大学)

本研究ではアートエデュケーション「自然や絵画の中のカタチでフロッタージュ創作」の試みについて報告する. 本プログラムは, 作品画像や人工物から造形の最も基本的な要素である「幾何図形」を視覚や触覚で捉えて観察力を高めることでより深い思考を促し, 概念化能力を育むことを目指したものである. 本報告では参加者が作成したフロッタージュ作品やアンケート調査の結果を通して, 「幾何図形」への理解と表現をきっかけとした分野横断型のエデュケーションへの展開についても検討していく.

B-2)「「教育共創マネジメント」に向けた実践」
森 晶子(東京大学先端科学技術研究センター)

先端教育アウトリーチラボ(AEO)では、学校の授業等の一環として、或いは学校の教育課程以外の場面で、STEAM教育等の実践に取り組んでいる。実践を通じて実施したアンケート調査では、インターネット及びSNSツール等、情報の流入経路が多岐化している現代においても、子供たちの学びに関する情報の獲得や行動には、学校及び学校教員の影響が非常に大きいことが示唆された。こうしたことを踏まえ、学校と共に、教育機会を創出していくことの重要性について考える。

B-3)「微生物燃料電池MudWattを用いた探求型ワークショップの実践報告」
山根 真智子(静岡大学),熊野 善介(静岡大学),増田 俊彦(静岡STEMアカデミー)

本稿ではJSTのジュニアドクター育成塾事業「静岡STEMアカデミー」で行ったワークショップ「最強の土をさがせ!」について報告する。受講生は自由研究を行っている小学5年生から中学3年生である。本ワークショップは微生物燃料電池に適した土をテーマに探究のプロセスを取り入れ実践を行った。受講生はMudWattの観測を通して様々な視点で土について考察できるようになり、さらなる探究へとつながった。

 

■一般発表 分科会C 
座長:佐藤 幸江(放送大学)

C-1)「データ駆動型GIGAスクール構想におけるSTEM教育指導法に関する小学校教員を志望する大学生を対象とした調査研究」
杉本 剛(東大阪大学)

大阪府内の大学で,小学校教員養成科目「理科指導法」を実施した。第7回授業で,「データ駆動型GIGAスクールにおけるSTEM教育の指導方法」をテーマとしたグループ討論を実施した。小学校教員希望大学生が,データ駆動型GIGAスクール構想の利点を客観的に考案し,学習の設定や指導方法案について具体案を考案し,同時に修得させたいスキルとして必須・付加的な課題を考案したことが明らかとなった。

C-2)「STEAM教育の理論モデルによる探究学習に対応した教師教育の再検討――社会科の教師教育を例に――」
濵田 英毅(玉川大学),高岡 麻美(玉川大学教職大学院),平社 和也(玉川大学)

玉川大学教育学部の社会科教員養成課程で、工学部メーカーズフロアの協力のもと社会科の探究学習を想定した教材開発の授業を実践した。学生の思いが具体的な形となるまでの試行錯誤のプロセスを分析した結果、STEAM教育の理論モデル(濵田・平社モデル)に整理することができた。本報告では、上記理論モデルを報告するとともに、社会科の教師教育の現状や課題、要点等と照応することで、その妥当性を検証する。また、理論モデルが今後の教師教育の見取り図となる可能性を示す。

C-3)「中等理科教育における学習テーマの設定に関する考察ー個人的レリバンスとSTEAM教育の観点からー」
久保田 愛海(東京大学大学院),杉山 昂平(東京大学),山内 祐平(東京大学)

2019年の国際数学・理科教育動向調査によると,(理科の)「勉強は楽しい」と答えた日本の中学校?徒の割合は国際平均を下回っており,科学の学習への意義や楽しさを感じさせることが重要だと?える。本稿では,学びの意義を個?レベルの関係性から?出した状態である個人的レリバンスに着目し,Eilksらによる授業モデルを踏まえ,理科教育およびSTEAM教育における学習テーマの設定の展望について考察した内容を報告する。

 

■一般発表 分科会D
座長:下郡 啓夫(函館工業高等専門学校)

D-1)「「かたち」を起点としたアートエデュケーション開発の研究 ー自然や絵画の中 のカタチでフロッタージュ創作ー」
西井 美佐子(女子美術大学),藤田 百合(東京国立近代美術館)

筆者らが構築した小学生を対象としたアート・エデュケーション「自然や絵画の中のカタチでフロッタージュ創作!」は,作品を鑑賞するだけでなく,オリジナルキットを介しながら形を「観る」「触る」といった感覚と,フロッタージュ技法を用いながら鑑賞を深める体験講座である.また,数や構造の入口から,美・ 創造・造形・自然形態といった世界が,横断的に深く繋がっていることの気づきのきっかけを提供する.この気づきから論理的思考力と創造力の双方が連動させて継続的に探究していく力となることを目指す.本件では,ワークショップの内容と試みた評価指針の構築を報告する.

D-2)「学校教育におけるAI型ドリル教材の活用に関する国内の研究動向の整理」
津下 哲也(岡山県赤磐市立山陽北小学校),中川 一史(放送大学)

学校教育におけるAI型ドリル教材の活用に関する先行研究をレビューすることで活用の成果と課題を明らかにし、今後の学校教育におけるAI型ドリル教材に効果的な運用に関する研究への知見を得ることを目的として国内の研究動向を整理した。先行研究の整理により、小学校から大学にかけ、学習効果が上がることを期待してAI型ドリル教材が活用され、その成果が報告されているが、条件統制の検討が必要であること、教師が学習状況を把握して適切に助言する必要があるといった知見が得られた。また、広い分野での教育データ活用への期待も示され、AI型ドリル教材の活用や運用に関してより詳しく調べていく必要性も指摘された。

D-3)「多重知能理論を応用した美術鑑賞による論理的思考の開発」
下郡 啓夫(函館工業高等専門学校),森本 彩(三重県立四日市高等学校),有賀 三夏(金沢大学)

筆者らは,STEAM教育で求められる論理的思考育成を目的とした,ハワード・ガードナーの多重知能理論とチクセントミハイの創造性理論を応用した美術鑑賞方法を開発している。本発表は,そのプロトタイプの実践報告である。