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日本STEM教育学会 第4回年次大会【オンライン開催】一般発表/SIG発表

2021-10-19 | EVENTS / ACTIVITIES

2021年10月23日(土)開催の「日本STEM教育学会 第4回年次大会【オンライン開催】」の一般発表/SIG発表の内容を掲載いたします。
予稿を掲載いたしました(2021.10.21)

開催概要・プログラム内容および参加お申し込みは、こちらよりご確認ください。

 

■一般発表 分科会A 
座長:村重慎一郎(津田塾大学、福島大学、STEM Leaders)

A-1)「オンライン環境におけるmicro:bitを用いた親子実験教室」
瀧澤広直((株)Tスポット)、長谷川大和(東京工業大学附属科学技術高等学校)

過去3回にわたり実施した対面でのSTEM 親子実験教室では, 2020 年度から小学校でのプログラミング 教育が必修となることを受け,保護者の関心の高さや不安,不慣れなパソコンの操作の難しさなどが明らかになった。コロナ禍への対応から,第4回目にはオンライン環境で実施することとなった。オンラインでの親子実験教室は,個別指導がしやすい,場所を選ばないなどの優位点がある一方,オンラインならではの問題への対策が必要であることが明らかになった。

A-2)「社会課題解決プロジェクトによる成長度の可視化」
村重慎一郎(津田塾大学、福島大学、STEM Leaders)、佐藤美玲、早原利香、築地綾香、澁倉陶子、亀井由衣(津田塾大学)

STEMの知識、スキルを社会的・経済的価値に転換するための力を身に付けるには、プロジェクトの実践は有効な手段となる。大学生のNPO団体であるSTEM Leadersでは、デジタル介護などの社会解決プロジェクトを推進しており、その活動を通じた成長の可視化をルーブリック評価手法を用いて取り組んでいる。評価指標、評価基準の定義に工夫が必要であり、本発表では実際に取り組んでいる評価方式及びトライアル分析結果について発表したい。

A-3)「美術大学通信教育課程と通学課程の演習科目における受講者の学習方略特性および実行系機能の調査」
小川修一郎(武蔵野美術大学)

本研究では, 美術大学の通信教育課程と通学過程において, 前提講義内容(プログラミングの基礎知識)および演習内容(プログラムを活用した作品制作)が同一である科目の, 各々の受講生を対象に学習方略特性と実行系機能を質問紙により調査した。 e-ラーニングを主とする通信教育課程と, 対面の場を主とする通学過程の受講生の差分を明らかにすることで, 美術大学における演習科目のブレンデット型での提供可能性を検討した。

 

■一般発表 分科会B 
座長:藤本 壱(群馬医療福祉大学)

B-1)「鉄道玩具(プラレール)を用いたSTEM教育教材開発」
藤本 壱(群馬医療福祉大学)

STEM教育の教材としてさまざまなものが開発されているが、子どもたちになじみやすく、また工学・数学・プログラミング・3DプリンタなどのSTEMの要素を組み込みやすいものを題材にすることで、教材としての効果がより高まるのではないかと予想される。本稿では、鉄道玩具のプラレールをSTEM教育の題材として取り上げ、また具体的な教材を開発した事例を紹介する。

B-2)「AI型ドリル教材を用いた小学校算数科「分数のたし算とひき算」の復習における正答率の変化とタイプ別誤答分析」
津下哲也(放送大学大学院)、佐藤幸江、中川一史(放送大学)

AI型ドリル教材を用いて「分数のたし算・ひき算」単元の復習を行った。正答率の変化を散布図に整理して傾向を調べるとともに,正答率の変化をタイプ別に児童を分類し,各分類の抽出児におけるAI型ドリルによる問題提示とその誤答を分析した。AI型ドリル教材を用いた復習は,テストの正答率を一定の割合で上昇させ,概ね中位から下位層の学力向上に効果がある一方で,教師の学習支援が必要な場合もあることが明らかになった。

B-3)「デジタル製造における3Dプリンティングの役割とSTEM教育」
小林広美(マークフォージド ジャパン 3Dプリンティング(株))

第四次産業革命はデジタル製造によって牽引される。最新の3Dプリンティング技術やAIにより、モノ作りが大きく変わりつつあり、デジタル製造を理解し運用できる人材育成は緊急課題である。北米ではSTEM教育の一貫として積極的に最新のシステムが導入されている。昨今、日本でも工業高校を始めとして、弊社の炭素繊維や金属の工業用3Dプリンタが導入されている。3Dプリンタとオンライン教育を通じて学校を支援する弊社の取り組みを紹介する。

 

■一般発表 分科会C 
座長:内田有一(上野学園大学短期大学部)

C-1)「タブレット端末を活用した地域学習~景観まちづくり学習を通して~」
江口千穂、島田雪路、佐藤友美、伊藤優祐(東京都北区立王子第二小学校)

フィールドワークを通して教科横断的に地域学習を行い,自分の気付いたことを相手に伝えたり,相手の考えを受容しさらに自分の考えを深めたりする中で,自分の住むまちに興味をもち,よさを知り,まちの未来を発信できる児童の育成を目指した。一人1台のタブレット端末を活用し,課題を見付け,他者と交流しながら課題解決し,地域へ発信できるようにした。また,SDGsとも関連させながら,環境教育やキャリア教育にもつなげていく。

C-2)「アート思考における自己調整学習の評価-中学校音楽科におけるGIGAスクール構想対応アカペラ教材による実践-」
内田有一(上野学園大学短期大学部)

芸術生成の思考を一般化したものをアート思考と定義した。これは音楽科における音楽的な見方・考え方による思考・判断・表現等と合致する。それは表現において試行錯誤して表現の思いや意図を形成する思考であり、学習の調整が働く。学習の調整による主体的な合唱ができるようGIGAスクール構想対応のアカペラ教材を開発した。これを一人一台の情報端末を用いた個別最適化学習の環境で実践した。学習の調整に関する評価の実施し、有効性を確認した。

C-3)「オンライン上における「STEMキッズ」プロジェクトに参加した児童の意識調査」
佐藤幸江(放送大学)

オンライン上でのSTEMの分野が統合された学習プロジェクト「STEMキッズ」をデザインし,全国から8校が参加して実施してきた.デザインのコンセプト及び1学期間実施した内容,それにより参加者の意識がどのように変容したかを,ARCS動機づけモデルに基づく児童への意識調査から明らかにする.

C-4)「STEAM教育と経済産業省「未来の教室」プロジェクト」
浅野大介(経済産業省)

経済産業省「未来の教室」プロジェクトは、のちに「GIGAスクール構想」として実現する1人1台端末環境の教育効果を実証する事業として、2018年度から始まった。民間の教育事業者と全国の小・中・高等学校とのコンソーシアムにより、EdTechを活用した学習スタイル改革を実証してきたが、特に本稿ではSTEAM学習の実証事業例からの示唆を紹介する。

 

■一般発表 分科会D 
座長:谷内正裕(特定非営利活動法人教育テスト研究センター)

D-1)「学校全体で取り組む教科横断型探究学習-コンテンツベースからコンピテンシーベースへの転換-」
藤田由紀子(高知市立浦戸小学校)、佐藤幸江(放送大学)

実体にあるものづくりによる教科横断型探究学習は児童のコンピテンシー能力を引き出すが、コンピテンシーベースの単元計画や児童評価に対する教員の戸惑いは大きかった。そこで、「10のコンピテンシーと児童の姿」の作成を通して教員の意識の転換を試みた。

D-2)「小学校と中学校において同一の教材を用いたSTEAM教育の実践と教育的効果の考察」
齋藤真子、安藤明伸(宮城教育大学)、西川洋平、安達勲(宮城教育大学附属中学校)、新田佳忠、渡部智喜、上杉泰貴(宮城教育大学附属小学校)、三宅丈夫、早川健太郎((株)アーテック)

本研究では,STEAM教育の導入的な観点を重視し,低い統合度で教科教育の中で指導した場合の教育的効果について,同一教材を小学校と中学校で用いた場合の特徴を考察した。利用したツールは,アーテックロボ2.0のECセンサーで,小学校では総合的な学習の時間,中学校では理科における水溶液の学習を対象として実践した。授業のねらいが異なるものの,それぞれの授業における教科のねらいが達成され,児童生徒のワークシートからは,それぞれの発達段階に即し,かつ学習内容に関連して教科を横断して考察されていることが明らかとなった。

D-3)「STEAM教育を通して行われる科学的探究力を育成する授業」
池 恩燮(大分県立大分舞鶴高等学校)、小林優子(筑波大学大学院)

予測が困難な変化の激しい社会が到来する中で、教育現場では、新たな時代をけん引する人材の育成が重要な課題となっている。大分県立大分舞鶴高等学校では、このような時代をけん引する人材の資質・能力の1つとして『科学的探究力』が重要であると考え、その素地を育成する手段として第1学年でSTEAM教育を行っている。本発表では、4月から9月末まで行ったSTEAM教育の授業実践と授業を通して生徒が探究の課程を理解し、『科学的探究力』の素地が育成されていく様子を報告する。

D-4)「「防災×テクノロジー」をテーマにしたSTEAM授業実践」
住谷 徹(特定非営利活動法人教育テスト研究センター)、宮 和樹((株)ベネッセコーポレーション・特定非営利活動法人教育テスト研究センター)、北澤 武(東京学芸大学大学院)

(株)ベネッセコーポレーションは,2020年度に経済産業省「未来の教室」STEAMライブラリー事業に参画し,「防災×テクノロジー」をテーマにしたSTEAM授業のための教材を作成した。本教材は8コマ分の教員用指導案,動画教材,補助資料から構成されており,地域の防災課題を探究する3コマ,防災課題をテクノロジーで解決する方法を探究する3コマ,探究した内容をまとめ,発表する2コマと分かれている。
本発表では,この教材を用いた2021年度に行われる2つの授業実践について紹介する。

 

■一般発表 分科会E(SIG4:STEAM教育研究会)
座長:下郡啓夫(函館工業高等専門学校)

E-1)「日本型STEAM教育におけるAの役割を考える」
下郡啓夫(函館工業高等専門学校)、有賀三夏(東北芸術工科大学)、杉原麻美(淑徳大学)

文部科学省では、STEAM教育を、「STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に加え、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習を推進」しようとしている。このAの定義をどのように捉え、日本型STEAM教育を展開していけばいいのか。参加者のみなさまと一緒に考えたい。